東谷はテレビでアニメを観ていた。冨樫義博の人気漫画『HUNTER × HUNTER』のアニメ版で、序盤のハンター試験編の回だった。ドバイにいるわけだが、オンラインの動画サービスを使って視聴しているようだった。 ちょうど私は取材で質問したいことがあり、「ちょっと聞きたいんですけど」と声をかけると、東谷は露骨に不快そうな表情を浮かべた。「ねー伊藤さん。ダメですよ。後にしてください」。そばにいた公設第一秘書の墨谷は「記者魂ですね」と私をからかってきたが、後で聞くと、「漫画とかアニメに熱中している時の東さんに声をかけるのはNG」だと教えられた。完全に漫画の世界に没入してしまうため、誰かに邪魔されると不機嫌になるのだという。 東谷にとって漫画やアニメを鑑賞する時間はそれほど譲れないものらしい。 子どものころの夢は「漫画家になること」だったという東谷。今でも職業の中で最も漫画家をリスペクトし続けている