映画『シェルタリング・スカイ』に、こんな台詞が出てきます。「あと何回満月を眺めるか? せいぜい20回だろう。」 いったい我々は、死ぬまでにあと何回ぐらい満月を見ることができるのでしょうか? 今日は、我々に与えられた時間の短さについて考えます。 「キキ、くどいようだけど、町はよく選んでちょうだいよ。それに、町に着いたらおどおどしちゃだめよ。なるべく笑い顔でね。まず町の人に安心してもらうことよ。」 「わかったわ、かあさん。あたし、だいじょうぶよ。心配しないで。」 キキは何度もうなずくと、オキノさんのほうを向きました。 「ねえ、とうさん。小さいときしてくれた、たかいたかい、して。」 キキははずかしそうに舌をちろりと出しました。 予想どおり、満月の光が、東の草山の上からふりそそいでいました。 角野栄子『魔女の宅急便』より 魔女の娘は、13歳の満月の夜、一人で両親のもとから飛び立ちます。キキにとって