金玉は行為し続ける 金玉は不思議な形をしている。体から垂れ下がった袋。温度が低いときには縮こまり放熱を妨げ、温度が高いときは、広がり、放熱を促進することで、精子を守る温調機の働きをしている、と言われる。男性ならば誰もが知っているだろうが、金玉が動くのは、ある温度においてではない。陸に上げられたタコのように、たえずうごめき、精子を攪拌し、温度を調整している。これは人が生まれ、死ぬまで繰り返される。 ここに行為の本質がある。行為は機械のように、刺激があり→体が感受し→いかに反応するか検討し→脳が反応を命令し→実際に体を動かす、ということではない。そうではなくて、温度、重力、大気圧、さまざまな圧力がたえず体へ作用し続け、さらには他の神経システムを経由してくる内的な刺激もあり、金玉の動きのように、人は絶えず環境との調整を行い、行為している。 金玉の動きは生理反応であって、意図的な行為とは異なると考