コレラの時代の愛 作者: ガブリエル・ガルシア=マルケス,木村榮一出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2006/10/28メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 46回この商品を含むブログ (107件) を見る 「純愛」という言葉がチンプかつチープになって久しいが、それでもこの小説を表すにはこの言葉を使うしかないだろう。 永い話だ。長いんじゃなく、永い。出会い、文通、婚約、破綻、別れ、結婚、不倫といった、なんてことのない断片的なエピソードが延々と500ページも続く。きわめて退屈だ。退屈だけれども、面白い。それはやはり、読者の五感に訴えるような緻密・細密で繊細な描写のおかげだろう。 例えば書き出し。「ビター・アーモンドを思わせる匂いがすると、ああ、この恋も報われなかったのだなとつい思ってしまうが、こればかりはどうしようもなかった。」という一文で物語は始まるのだが、ここだけみても非常に濃厚