長年の経験で本を選ぶ目を養ってきた書店員は、「君には選書できないだろうから、ちゃんとした人にやってもらって」と本部社員から言われた。世の中がグローバル化するなかで、洋書を重視するというのはユニークな試みも見えるが、店を訪れる客の目線が欠落していたことは否めない。売れた洋書は週に1~2冊ほどだったという。自分たちの意向が抑えつけられることに苦痛を感じて、今年の春までの間にベテラン書店員たちが去って行った。 先日、立教大学に出向き、その書店を見回したが、洋書は専門書の10冊程度となっており、教科書重視の棚揃えとなっていた。フェア台には立教大学の先生たちが著した一般書籍が並べられている。洋書重視の棚揃えは、経営的にも成り立たないと判断されたのだろうか。 残ったのは、訪れる人々とコミュニケーションを取りながら店を成り立たせていた、人間力のある書店員たちが現場から去ってしまったという事実だ。ユニーク