失われた20年で日本の物価は驚くほど安くなった。では、その原因はどこにあり、その結果、将来的に日本に何が起こるのだろうか。経済アナリスト・森永卓郎氏が、『安いニッポン 「価格」が示す停滞』(中藤玲・著/日本経済新聞出版本部)から読み解く。 * * * 薄々気づいている人も多いと思うが、世界から見ると、日本の物価はとてつもなく安くなっている。本書は、日経新聞記者の著者が、日本の低物価の実態とその原因、さらには今後どうしたらよいのかをまとめた書籍だ。 ダイソーの百円商品、マクドナルドのハンバーガーに始まって、回転ずしからディズニーランド、アマゾンプライムなどのサービス料金に至るまで日本の物価がいかに安いかを本書は冒頭で紹介する。具体的な国際比較の数字を突き付けられると、本当に驚く。 なぜそんなに安いのか。物価は二つの側面で決まる。一つは需給関係だ。日本は、かれこれ四半世紀近くにわたってデフレを