10年早い通貨圏構想 切込隊長氏がドル安の話から円通貨圏の議論をされている。ちょうどこちらも最近似たような話題を書いたばかりなので、少しコメントしてみたい。 FTAやりまくろうがなんだろうが、ある種の円経済圏を作るためには、経済圏の中で輸出と輸入がある程度バランスしていなければならない。ヨーロッパのように構成国がどこも程よく成熟化していて、貿易収支が均衡しやすい場合はともかく、アジアでは、または環太平洋まで視野を広げても、現状内需を拡大させて各国の輸出を引き受けるだけのポテンシャルをもった国はない(「貿易黒字のチキンレース」でも書いたことだが、輸入を増やすということは海外から借金をするということだ。つまり、それが出来るだけの信用が国になければ、野放図に貿易赤字を拡大することなど出来ない)。というか、アメリカだけだ。 だから、アメリカ抜きで経済圏を作ってみたところで、現状では貿易が域内で完結
前回の記事を読み直したらどうも尻切れトンボのような気がしてきたので、もう少し「結局、この先為替はどうなるのか」について書いてみたい(正直言って、相場の当てっこにはあまり興味がないので、筆者の予想自体はあまり気にしないで頂きたい)。 前回の記事を大雑把にまとめると、アメリカは巨額の貿易赤字をまかなうために海外から借金をする必要がある。逆に言えば、その他諸国はアメリカにモノを買ってもらうためにアメリカにお金を貸す必要がある。しかし、アメリカが借金をしすぎて返済できなくなるとみんなが考えると、一斉に借金の取立てが始まってドルが大暴落する恐れがある。でも、為替介入が続く場合、どうなるかはよくわかりませんね、ということだった。 ・ベストシナリオ:アメリカが財政赤字を削減 理想的なシナリオは、アメリカが自ら消費を減らして、貿易赤字を削減することだ。特に、政府が財政支出を切り詰めるのが一番良い。そうすれ
+++最近(2008年2月10日)総集編を作りましたのでお越しください+++ http://wotan.cocolog-nifty.com/blog/2008/02/post_3a3b.html mixiの方で、ご説明をしようとしていたら、あんまり長くなったんで、こっちにはみ出してきてしまいました。 まず、何となくぼんやりイメージすると。 「日本が海外に投資出来るのは、日本の経常収支が黒字だからだ」 と言われると、「うん、そうだね」となると思います。 経常収支黒字=お金がある=投資できる と言う図式は、ものすごく自然に頭に入るんで、ほとんどの方が信じてしまいがちです。 実は、これがすべての混乱の元になる考え方です。新聞や雑誌に書いてある経常収支とか資本輸出・海外投資の議論は、ほとんどこの間違った考え方からスタートしてしまっています。 今、アメリカと貿易をしているのは、松下電器産業だけだとし
前川レポートって何? と、いきなり突っ込まれそうなんですが、「ド素人」とみずからを称した現役の日銀総裁をこのブログで批判して、ついでに皆さんとmixiでコメントしあっているうちに、今から20年近く前のことですが、もう一人「ド素人」の「国際金融の専門家」総裁が昔いたことを思い出しました。 そのことを書いたのですが、皆さんが当時の雑誌・新聞を検索したら「高い評価をされていた」と言う記録が多かった為、何故ヴォータンが「ド素人」と呼んだのか戸惑った方が多いようです。 実は、 「前川レポートの馬鹿馬鹿しさととんでもない勘違い」 が、その後どれほど日本の国益を損なったかは、東京大学・青山学院大学で教鞭をとられた小宮隆太郎先生が、 「貿易黒字・赤字の経済学」-日米摩擦の愚かさ(日本経済新聞社 1994) で、きちんと総括していらっしゃるので、今更ヴォータンが付け加えるまでも無いのですが、出来るだけ噛み砕
本当は中国経済のことを書こうと思って色々と準備していたのだが、円ドルレートがえらいことになっているので、とりあえずこちらを先に書いておこう。 要するに、19日のグリーンスパン議長の「財政赤字を削減して貿易赤字を減らさなければ、将来的にドルが暴落しますよ(ものすごい意訳)」というコメントを受けて各方面で慌てている人が続出、という構図のようだ。どうも違和感があるのは、このコメントに対する反応が日本では結局介入をいつするのか、アメリカ様がお許しになるのかという点だけに集中してしまっているように見えることだ。 貿易黒字と介入と世界経済のバランスの話をちゃんと書いている記事はとうとう見つからなかったので、正直今更という気もするのだが、その辺りのことを書いてみることにしたい。 アメリカに喜んでお金を貸す国々 為替レートをドル高(円安)な水準に固定すると、アメリカは安く輸入品が買えるようになる(1ドル1
忙しい・・・・のでろくな書き込みもできずすみません。 一つだけ。円高の時とはうって変わって円安になってもジャーナリストは騒がんですな。しかし、ユーロが158円、オージーでさえ94円っていうんですから、少しは騒いだ方がいいですな。ドル円も121円、これだけ弱いドルに対してさらに弱いっていうのはかなり深刻な問題だと思ったほうがいいです。 政策当局者から円が安すぎる、と発言がでてこないことにどうにも納得がいきません。この国の通貨政策が機能していない証拠でしょう。このまま行くと大変ですぜ、と警告しておきます。これだけ日銀がふらふらしているとまともな人はこの国の通貨は買いたくはないでしょうし、資産の置き場所としては決して安心できるものではない。その意味でニーズのない通貨ということです。 円キャリー云々を言う人がいますが、これはある種出たり入ったりしているのでプラマイゼロ、恒久的にこの国に資産を置いて
昨日のエントリを書くために自分の過去ログを検索していて再読したが、道に落ちてる直径30cmのケーキに出くわしたアリさんモデルという表現は、実に、今、WEBで起こっていることの本質を表現していると思う。 Skypeやグーグルが何でもかんでもタダで提供するのは、第一には自分たちだけではとても食いくれないからだ。 そして、これはそんなに特殊なことでも不思議なことでもない。 本書でいわれる「リアル社会」を、私はかねがね「脳化社会」と呼んできた。ネットの社会は、私から見れば、「リアル社会」がより純化したものである。 「リアル」な社会とは、養老氏の言い方で言えば「脳化社会」、つまり、シンボルの操作で回っている世界である。だから、現代の労働は大半がシンボルの操作である。 そして、純粋なシンボルの操作であるプログラミングという作業においては、生産性の個人差が非常に大きく、今までの社会は生産性の低い方の人間
一般には消耗し尽くすことを示すが,特許や著作権などの知的財産の分野では権利が効力を失うことを意味する。用尽とも言う。例えば特許権の場合,特許発明に係る製品を適法に譲渡した時点で,譲り受けた製品の所有者が,その譲り受けた製品に関して自由に使用,譲渡,貸し渡し,輸入などを行えるようにするために,特許権の消尽という概念があると解釈されている。 「特許権の消尽」の基となったのは,いわゆる「BBS事件」の判決である。ドイツおよび日本でタイヤ・ホイールの特許権を持つBBSが,ドイツで販売されていたBBS製品を国内に並行輸入した業者を特許権侵害で訴えた。この訴訟で最高裁判所は並行輸入業者による特許権侵害を認めなかった。 特許権の消尽は,使用済み品を再生して販売する再生品の特許侵害を争うときに焦点となることが多い。例えば,キヤノン製のインク・カートリッジの使用済み品にインクを再充填した再生品を中国企業から
血も涙もない損得勘定だけの冷血ファイナンス屋養成講座 講師:山形浩生(野村総合研究所 社会産業研究部、内線0-6227) 更新:1998.07.02 02:13 次回講義案内更新! 次回案内: テーマ:ケーススタディのおこたえ 日時:1998年7月16日(木) 18:30-20:00 場所:新大手町ビル NRI 旧社会産業研究部会議室 目次 1. 目的 / 2. 受講の見返り / 3. 対象者 / 4. 場所と時間 / 5. 講義内容とスケジュール / 6. 参考文献 1. 目的: 経済のグローバル化とサービス化にともない、日本経済も未曾有の大競争時代に突入し、さらに金融ビッグバンにともなって、新たなファイナンスの専門性が情報世紀の創造企業たる弊社にも、ますますシビアに要求されつつある・・・・・・ なーんてのは笑止! ファイナンスは、実は非常に単純な原理に基づいていて、専門性な
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