2014年11月の沖縄県知事選挙では、保守派ながら普天間基地の辺野古「移設」に反対し、「オール沖縄」をとなえ革新の支持を得た翁長雄志が、次点の仲井眞弘多と10万票の差をつけ当選した。 一部の新聞は「オール沖縄」や「イデオロギーよりアイデンティティ」というフレームが県民の心をとらえたと評価した。このフレームは、従来の「基地か経済か」という主張とは異なり、沖縄県内の利害対立を争点化せず、沖縄人(ウチナーンチュ)という集合意識に基づく「地域主義」を前面に出す言説戦略であった。 私は、2014年12月配信の『αシノドス』に「国家の「中心」と「周辺」―政党対立からみた沖縄の分断」という記事を寄稿したが(山﨑2014)、この知事選挙において、沖縄島北部や離島地域の有権者は必ずしも「オール沖縄」候補(翁長雄志現知事)を支持したわけではないことを指摘した。 翁長は、沖縄島中南部において従来の保革間の亀裂を
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