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小学生の頃、算数がぞっとするほど苦手だった。三桁同士の足し算や引き算は苦労した。筆算をプリントのあちこちに書き込んで解いていくのだが、毎回違った答えになってしまい焦る。特に繰り下がりの引き算は時間がかかった。「十の位から借りてくる」とかそういう方便は分かっていたが、数字を分解して両方の形を海馬に維持させたまま鉛筆を走らせることができなかった。 算数は苦手だったが数学は好きだった。単なる計算問題が少なくなり、幾何や代数問題が増えたため、あまり頭を使わなくてもよくなったからだと思う。あれは僕が中学一年の冬か二年の夏か秋か冬か。よく覚えていないが、図書館で数学の絵本を見つけた。『数の悪魔』という本だ。数学が嫌いな少年が数の悪魔と出会って毎日夢の中で数学談義を繰り広げる、という筋だった。そこで悪魔が語っていたのがフィボナッチ数列だった。 『聖なる侵入』でも『ヴァリス』でもフィボナッチ数列が登場する
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