江戸初期に活躍した柔術の大家、関口氏心(関口柔心)の逸話に、「猫が屋根の上で眠り込んで転がり落ち、空中でひらりと身を翻して足から降り立った様子を見て“受け身”を考案した」というものがある。関口氏心は自ら屋根の上に登って転がり落ちる修行を続け、受け身の技を完成させたという。 『Falling Felines and Fundamental Physics』Gregory J. Gbur著、Yale University Press、2019年10月17世紀の日本では武士が猫に学んでいたわけだが、当時の欧州では科学者たちが「猫が逆さに落ちても足から降りられる秘密」を解明しようとしていた。物理学者グレッグ・バー博士の著書『Falling Felines and Fundamental Physics』は、300年にわたり「Cat Righting Reflex(猫の立ち直り反射)」という猫の姿勢