クラスでは成績トップ、家事だってお手の物、趣味は貯金。顔もそこそこに可愛いはずの花も恥らう十六歳、天下無敵の女子高生。 そんな私には大きな悩みの種がある。とはいってもこれまでの人生、その問題で特に悩んでいたことはなく、しかしこのまま放置を続けているといつかきっと悩まされる、そんな不可避の残念な未来が訪れるはずなので、今はとりあえず『それ』を私の悩みであるということにしていた。 いつ悩まされるのかな、十年後かな、二十年後かな、もっと早いかな、遅いかな、そんな呑気なことを考えていた私だったのだけれど、『それ』がもたらした問題はある日の夜、一切の予告もなしに訪れた。