6年前に起きた東京電力福島第一原子力発電所の事故の際、最初にメルトダウンした1号機で事故対応の鍵を握っていた非常用の冷却装置。実際の操作を経験した人がいない状態で対応を迫られました。実はこの装置、長い間、起動しにくい設定になっていたことが関係者の取材や残された資料からわかりました。重要な冷却装置は過去、どのような経過をたどり、事故を迎えていたのか。見えてきた教訓は何か。解説します。 福島第一原発1号機の非常用の冷却装置。正式には「非常用復水器」、通称「イソコン」と呼ばれます。 トラブルなどで原子炉の圧力が高まると自動で起動し、電源が無くても配管の弁さえ開いていれば原子炉からの蒸気が冷却水が入ったタンクの中で冷やされて戻ってくる仕組みになっていて、重要な冷却手段でした。 6年前も午後2時46分の地震で原子炉が緊急停止したあと自動で起動しましたが、運転員が配管の弁の調整をしながら、原子炉の冷