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  • 『春いちばん』再読 ③|角岡伸彦/フリーライター

    賀川豊彦(1888-1960)の・ハル(1888-1982)を主人公にした小説『春いちばん』(玉岡かおる、家の光協会、2022年)を読み直し違和感をおぼえたのは、賀川の偉人ぶりやハルの夫に対する従属性だけではない。彼女の容貌に対するコンプレックスの記述が異様に多いのだ。 賀川は明治の末期、神戸・新川しんかわのスラムで、キリスト教の伝道と救貧活動を始めた。それらの体験を含めた自伝的小説『死線を越えて』(改造社、1920年)で、自らの恋愛結婚観や、ハルとのなれそめを詳しく書いている。『春いちばん』は『死線を越えて』をベースにして書かれているので、賀川の価値観が色濃く出ている。 独身時代に賀川が悩んでいたのは大雑把に言うと、結婚する女性は容貌か性格かという二択問題だった。『死線を越えて』には、見た目に関する記述が頻繁に出てくる。ハルについては、<その婦人は一寸見れば、どこかの細君のようである

    『春いちばん』再読 ③|角岡伸彦/フリーライター
    wkatu
    wkatu 2023/12/06
    『アジアへの侵略を<インフラ整備><新しい土地作り>と言ってのけ、<土着民>の弾圧を当然のように書く作家には疑問を抱かざるを得ない。』
  • ある ❝ 偉人 ❞ の別の顔 賀川豊彦と部落問題|角岡伸彦/フリーライター

    久しぶりに机の上を整理していたら、1月16日付けの朝日新聞朝刊の切り抜きが出てきた。今年は関東大震災の発生から100年にあたる。28年前に起こった阪神・淡路大震災と併せて、1月に開催された「復興・減災フォーラム」(関西学院大学災害復興制度研究所主催、朝日新聞社後援)の内容が報告されている。 私がこれを切り抜いたのは、作家で大阪芸術大学教授の玉岡かおる(1956年、兵庫県生れ。敬称略、以下同)が、「特別講演」で賀川豊彦かがわとよひこ(1888ー1960)について語っていたからだ。 農民組合・労働運動の指導者、生活協同組合の生みの親として、またミリオンセラーの自伝的小説『死線を越えて』(改造社、1920年)の作者として知られる賀川は、20代以降の10年余を、兵庫県神戸市のスラム・新川しんかわに住み込み、キリスト教伝道と救貧活動に励んだ。 そこでの見聞などを『貧民心理の研究』(警醒社、1915年

    ある ❝ 偉人 ❞ の別の顔 賀川豊彦と部落問題|角岡伸彦/フリーライター
    wkatu
    wkatu 2023/11/14
    『凡人であれ偉人であれ、ある時期に差別的なふるまいをおこなうことはある。ただ結果的にであれ、それを無かったことにして、天まで持ち上げるのは、犯罪に加担するようなもの』
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