この手の研究は,波束エンジニアリング等と呼ばれる最近ちょっと流行の面白い研究です. 簡単な概念を述べますと, まず,超短パルスレーザーで分子の振動状態を励起します.まあここでは単純にヨウ素分子だとか水素分子だとかのような二原子分子を考えましょう.通常の励起では,吸収される波長と同じエネルギー差のところのみが励起されるわけですが,パルス幅(光のパルスの持続時間)が十分短い場合単一の波長というものがきちんと定義できず(例えばデルタ関数の場合,フーリエ変換すると全波長の重ね合わせであるように,短パルスにすると言うことは様々な波長成分を持たせることに相当),様々な振動準位が同時に励起されます.つまり,一発のパルスで複数準位の重ね合わせが励起されます. このとき,様々な振動の重ね合わせが「波束」と呼ばれる一種の集合体であるかのように振る舞います.海で様々な波長の波が重なって,一つの大きな波(のように