きりえ作家滝平二郎(たきだいらじろう、1921~2009)が描いた絵本『モチモチの木』(斎藤隆介作、岩崎書店)の原画が、千葉県柏市の自宅兼アトリエから見つかった。現在の版の「二十日の月」と異なり、「三日月」が夜空に輝く幻の原画だ。 『モチモチの木』は、少年が祖父を助けるため、夜中に山を下りて医者を呼びに行く物語。71年に刊行され、130万部を超えるロングセラーだ。一部の教科書には現在も載っている。 原画は滝平の長男加根(かね)さんが見つけた。小雪の舞う夜更け、トチの大木の背後に三日月がかかっている。岩崎書店の元編集者池田春子さんによると、初版は三日月だったが、数年して「丑三(うしみ)つ時に三日月が上るのはおかしい」と小学校教諭から指摘があり、77年から本文と絵を二十日の月に差し替えたという。滝平は不本意で、立腹して三日月の原画を捨てようとしたが妻の普美子さんが止め、現在まで残っていたようだ
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