公共の福祉とは、原則として権利や利益同士が対立した時にそれを調整するためのものだ。 間違い。 なんか、真に受けてる人が多いみたいなのでちゃんと書いておくけども。一部ブクマが指摘しているとおり、「公共の福祉」を人権相互の矛盾・衝突を調整するための実質的公平の原理であると解する立場は「一元的内在制約説」と呼ばれ、昭和30年代からわりと長らく憲法学の主流な学説とされてきた。 けれど、机上の空論に過ぎないことが既に広く知られている。 みんな大好き長谷部教授の「新法学ライブラリー2 憲法」(新世社。当増田の底本は第4版(2008年))から持ってきてみよう。 もっとも,一元的内在制約説については,より根底的な点で,その妥当性に疑問を呈することもできる。 第一に,人権を制約する根拠となるのは,かならず他の人権でなければならないとの前提は,「人権」という概念をよほど拡張的な意味で用いない限り理解が困難であ