福島県にプロサッカークラブがある。そう伝えると、ドイツ人の友人は驚いていた。そんな普通の暮らしがあるとは、といった反応だった。すでに東日本大震災から5年が経っていた頃のことだ。 「ほら、見てよ」。そのクラブにプロ選手としてドイツからやって来た若者は、スマートフォンに「Fukushima」と打ち込んで、検索結果をこちらに見せた。画面のトップに表示されていたのは、事故発生当時の福島第1原発の写真だった。 エメル・トカチは今、福島ユナイテッドFCの一員としてプレーしている。昨年の夏に湘南ベルマーレへ加入し、期限付き移籍で福島へやって来た。 幼少期からドイツのレヴァークーゼンで育った。そのトップチームから今夏に7100万ポンド(約99億円)と言われる移籍金で英プレミアリーグのチェルシーへ移籍したカイ・ハヴァーツはアカデミーでの1学年先輩で、ともにプレーした。 前述のとおり、ヨーロッパでは今でも福島