(筑摩選書・1620円) 平和に向けた論者四人による深い思索 安倍政権が安保法制を成立させたので、憲法9条は台なしになった。そう思って思考停止した人びとが多いのではないか。だが、大澤真幸(まさち)氏は言う。むしろ勝負はこれからだ。憲法9条の精神を前進させ、まともな憲法とよりよい世界の平和をいまこそ構想できるはずだと。 本書はよくある憲法本と、異次元のレヴェルにある。中島岳志、加藤典洋、井上達夫。現在望みうる最高の論客三氏を相手に、大澤氏が案内役となって、憲法9条のその先へ進む具体的なプランを論じあう。三氏ともいわゆる憲法学者でない。だからこそ語れる、もっとも本質的で深くまで届く言葉を、大澤氏が巧みに引き出していく。 この記事は有料記事です。 残り1154文字(全文1465文字)