「あの人はいい人だな」と思う人を頭の中で思い浮かべてみる。 だけどその人が、実は夜道で野良猫を蹴っ飛ばしていない保証はないし、インターネットに罵詈雑言を書き込んでいない保証もない。 いや、たぶん本当によくできた人物というのは世の中に存在するのだけど、しかしそんな人だって肉を食べたり野菜を食べたりして他の命を奪っているし、ちょっと家の外を歩くたびにたくさんの虫や草を踏みつけているのである。 子供なんてもっとひどい生き物で、自分では何も生産しないくせに、ひたすらミルクを飲んで排泄して、おまけに恵まれたこの国ではそれらはとても高価な紙おむつにくるまれて当たり前のように捨てられる。 原罪、なんて言葉があるけれど、本当に、人間は生きているだけで相当「悪いやつ」だと思うのである。 もちろん生きるというのはそういうことなのだし、じゃあもうちょっとだけでもぼくらが「いいやつ」になるためにはどうしたらいいの