【これまでの話】 時は電子書籍二年、世界はデジタルデータによる新たな読書に向かっていたが、いまだ道のりは遠かった。人々に広く電子書籍を知らしめるため、大地に電子の妖精が降り立った。彼女らは果て無きシェア争いに身を投じる、電子書籍端末の化身である──。 このストーリーは、よく分かる、電子書籍端末最新事情でも登場した、電子書籍少女たちが繰り広げる「もしかしたらあるかもしれない空想小説」です。 未来の本棚は“トラブルメーカー” 「ふんふーん、ふふふーん……」 「ねーねー、どうしてそんなににやにや笑いながら掃除してるのかな、お兄さん?」 僕が久しぶりに気分を良くしていたところ、後ろから冷ややかな声を掛けられた。 「かなりキモいのです。少しばかり落ち着くのです」 「ほっといてくれ。というか君たちなんでまだうちにいるんだよ」 「長居して申し訳ありませんが、まだ勝負の決着が付いていないからよ。勝敗が決す