学生から「自殺について哲学者たちがどう考えていたのか分かる本はないですか?」とよく聞かれる。いつも困っていたのだが、ようやく推薦できる本が刊行された。著者のヘクトは科学史研究者であり詩人でもある。本書の前半3分の2で、古代から現代までの西洋の哲学者たちの自殺観をバランス良く紹介し、後半3分の1で自身の考えを述べている。自殺に心惹(ひ)かれながらもその気持ちに負けないことの尊さというものがあると
新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに「健康」についての番組や雑誌の特集がよく組まれるようになった。感染対策を徹底することはもちろん、健康全般について気を配るのは「よい」ことである。しかし、ここぞとばかりに健康が喧伝され、「当たり前によい」ものとされていくことには一抹の居心地の悪さを感じていた。健康の絶対視によって、損なわれるものは本当にないのだろうか。そんな疑問を抱えて読んだ、3冊の本を紹介したい。 <2020年「健康」や「人間」の常識を覆すベスト3冊> 1.『「健康」から生活をまもる 最新医学と12の迷信』大脇幸志郎/生活の医療社 2.『肉食の哲学』ドミニク・レステル 著/大辻都 訳/左右社 3.『モノも石も死者も生きている世界の民から人類学者が教わったこと』奥野克巳/亜紀書房 「健康」は必ずしも第一ではない
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