7月10日に投開票が行われる参議院選挙の1つの論点が、家計の暮らし向きの変化だ。 与党は日本全体での賃金の総額が(物価を加味した)実質でも上昇傾向にあるとして実績を強調する一方で、野党は雇用者1人あたりで見た実質賃金の低下傾向が続いていると批判している。 「日本全体の賃金総額の増加」と「1人あたり実質賃金の低下」は、実は矛盾しない。 2012年から2021年にかけて、女性や高齢者を中心として日本全体で雇用は477万人増えた。新たに働き始めた人や定年後再雇用された人の賃金水準は、労働者の平均的な賃金水準より低い。このため、これらの雇用の増加は、日本全体で見た賃金総額を増加させる一方、労働者1人あたりの賃金水準を押し下げるのだ。 それでは、世帯で見た暮らし向きはどう変化しているのだろう。大和総研では、(1)20代単身男性、(2)20代単身女性、(3)30代4人世帯、(4)40代4人世帯、(5)