幼稚園の頃、お風呂上がりの母親にバスタオルをわざわざ渡したら怒りを買った事がある。 わざわざ渡す必要のない距離にバスタオルは配置されている。それなのに手渡したのは、母親から「ありがとうね」などの優しい反応を引き出したかったからだ。当時あまり母親に構ってもらえず寂しかった記憶がある。 母親は「何でそんな事までお前に口を出されないかんだ」と怒った。 怒りと言う反応が予想外だった事と、怒りの度合いが強かったので心臓が縮むような驚きを感じた。酷く迷惑なことをしてしまったらしいと落ち込んだ。 今思えば、当時母親は確か妊娠中か出産直後でホルモンバランスが崩れていた。そうでなくても些細な事で機嫌が激変する人だった。だからそんなに気にすることはなかったのに、当時の私は真に受けた。 母親は機嫌の良いときはとても優しかった。パチンコの射幸性のようなものか、何故か母親から優しい反応を貰う事を諦められなかった。