私は某大手電機メーカーの関連会社にいたのだが、そこではトラブルを収拾するのに、課長があやまるか部長があやまるかあるいはもっと上が出てくるか、そういう所に微妙なランクがあった。客の方でもそれを充分承知していて「まあ、事業部長が出てきたから今回はこのへんで勘弁してやるか」みたいな感覚があった。時にはトラブルのレベルの認識が違っていて、こちらが工場長あたりでおさめようと思っても、むこうの方が「本社が出てこないと許さん」とか言って長引くこともある。しかし、重要なことは「誰それを出したらこれくらいの誠意」という座標軸みたいなものを両者が共有していたこと。くいちがいはあっても、同じものさしの上で「ここだ」「もうちょっと上だ」とやっているわけで、妥協や折衝は簡単である。 日本の会社には、こういう暗黙の価値観みたいなものがたくさんあって、これを理解すると一人前のサラリーマンとみなされる。そして、関連会社や