リュシーは三十代最後の夏の休暇をスペインで過ごすことに決めた。マラガ、エステポナ、セビーリャなどアンダルシア地方の暑い夏。ひとりで始めた旅だったのに、思いがけない過去との出会い、そして新しい発見が彼女を襲う。言葉の奔流のなかで、異性愛、同性愛、近親相姦的な愛のからみあうさまが立ち上がってくる。そうなれば死者たちも黙っていない…。 ロベール・ブレッソン監督に選ばれてジャンヌ・ダルクを演じたのちに作家となったフロランス・ドゥレは、スペイン文学への深い造詣にもとづく数々の名作で、フランスでは最大級の評価を受けてきた。そのドゥレがフェミナ賞をかちとった代表作『リッチ&ライト』をようやくお届けできる。 パリ生まれ。作家。アカデミー・フランセーズ会員。ブレッソンの映画『ジャンヌ・ダルク裁判』で主役を演じたあと、スペイン語の教授資格を獲得。パリ第三大学で比較文学を講じる(1972-2000)。これと並行
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