<ドキュメンタリー映画『シリア・モナムール』は、シリア内戦をリアルに描いている。そのショッキングな映像にも、どこか慣れてしまっている自分。そうしたことが起きる現代の情報環境を考える...> 6月18日から公開中のドキュメンタリー映画『シリア・モナムール』は、シリア内戦のリアルを描いたものだ。これでもかと詰め込まれた残虐でショッキングな映像の数々は、シリアの現状を世界に伝えるためでもあり、観た者は言葉を失うという感想を述べている。 しかし、日本で平和に暮らす多くの人々にとって、シリアの現状は同情しつつもどこか縁遠いと感じてしまうのも事実ではないか。もっといってしまえば、どこか残虐な映像を観ても、「かわいそうだな」という感想をぽつりと心につぶやいたその次の瞬間、もうシリアのことを考えなくなってしまうのではないか。 残虐な映像も「よく観る光景」として処理してしまうとすれば、それは悲劇を「体験」で