今年、青山学院大の4連覇で幕を閉じた箱根駅伝。この大会はかつてNHKラジオで聞き、スポーツニュース映像で確認し、そして専門誌で検証するものであった。追体験として伝説のランナーとは主に誌面で遭遇した。天下の険をバックに競技場のトラックでは見られないまさに剥き出しの個性がそこにはいた。 2区で12人抜いた東京農大の服部誠、4年連続で5区区間賞の大東文化の大久保初男、後の五輪コンビとなる中村孝生、新宅雅也と共に日体大連覇に活躍した双子の坂本兄弟…。そう、日体大と言えば、53回大会で一区の石井隆士がいきなり最初の30メートルで後方に3メートルの差を付けたと言われる猛烈なスタートダッシュも印象に残る。本来1500mの選手であった石井がスプリンターもかくやと思うスピードでそのまま2位以下をぶっちぎった走りは強烈だった。 しかしながら、それらはあくまでもダイジェストとして切り取られたもので大会全体を俯瞰