まだ7月下旬ながら、ハリウッドで、夏はすでに終わってしまった。いや、終わった、というのは違うかもしれない。なぜなら、今年は、訪れもしなかったからだ。 そしてもしかすると、ハリウッドには、夏と同じくらい大事なホリデーシーズンも来ないかもしれない。コロナが猛威をふるい続け、映画館再開にストップをかける中、スタジオは、大事な作品を来年に動かし始め、公開カレンダーの空白がさらに目立ってきたのである。 コロナショックがアメリカを襲い、映画館が閉鎖になった3月以来、春夏に控えていた作品は、どれも、延期になるか、配信直行になるかの扱いを受けた。そんな中でずっと7月17日の公開日を守り続けたクリストファー・ノーランの「TENET テネット」は、いつしか業界で「映画館再開を祝う最初のメジャー映画」という位置付けを得るようになる。しかしその「TENET〜」も、収まらぬコロナ禍の中で2度公開日を変更。ついには、