30度近い熱帯夜でも扇風機は動かない。真っ暗な職場で明かりはスマホのライトだけ。5日並んでもガソリンが買えないー。これがエネルギー危機と経済の大混乱に陥る国・スリランカで起きている現実だ。 現地での取材で見えたのは、自分が暮らす国を「沈む船」と呼ぶほど追い詰められた市民の暮らしだった。 (アジア総局記者 影圭太) それは空港で早くも目の当たりにすることになった。 3月上旬、スリランカの空港に到着し、携帯電話用に現地のSIMカードを買った時だった。 料金をドルで支払ってほしいと言われたのに、おつりとして返ってきたのは現地通貨スリランカルピーの紙幣。 「手持ちのドルはないから」と販売員の男性が話すのを聞き、この国の経済が抱える大きな問題を実感した。 急激な外貨の不足だ。 紅茶と観光で知られる南アジアの島国スリランカ。 経済が普通ではない状態になっていると感じたのは去年12月だった。 「特産の紅
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