「親を殺したくなったり、早く死んでほしいと思ったりしたことはありませんか?」 『親を殺したくなったら読む本 「親に疲れた症候群」の治し方』(マキノ出版)の著者であり医師の石蔵文信氏は、診察の際に患者にそう問いかけるという。 今年6月、元農水省事務次官が息子を殺害したとして逮捕された事件や、中学受験生が刺殺された事件で、7月に被告人である父親に懲役13年の実刑判決が言い渡されたことはまだ記憶に新しい。警察庁の統計(「平成28年の犯罪情勢」)によると、平成28年における殺人事件の既遂検挙件数のうち、被疑者と被害者の関係が「親族」間である割合は、58.2%。実に6割近くの殺人事件が、家族同士のあいだで起こっているのだ。 そして著者は、臨床を通じて感じたことから、世の中に警鐘を鳴らす。 “実際に殺人を犯すまでに至らなくても、親や子どもを殺したいと思うほどに家族の存在を重荷に感じている人や、家族問題