◆ ――本年6月、シベリアで「8万年に1度」の異常高温、北極圏で史上最高の38度を記録したことがニュースになりました。気候変動の深刻な危機はすでに始まっており、現状のグローバル化された経済活動を放置すれば2100年には地球の温度は4.1~4.8度上昇し、農業、漁業への打撃、海面上昇、豪雨などの異常気象をもたらすという本書の指摘は衝撃的でした。 斎藤 気候変動がもたらす海面上昇の問題は深刻で、もしも現況の上昇率のまま4度上がれば、日本でも沿岸部を中心に1000万人に、世界規模で見れば億単位の人々の居住に影響が出ることが予測されています。食料危機や水不足、異常気象によって経済も大打撃を受け、年間27兆円が失われるという試算もあります。 これが、「人新世」と呼ばれる時代の近未来の姿です。人新世とは、人間の経済活動、すなわち資本主義の痕跡が地球を覆いつくした時代を示す用語として、地質学で提唱されて