世界文学の最高峰「ボヴァリー夫人」が現代に問いかける幸せの行方 修道院で教育を受けた貞淑なエマ・ボヴァリーが、凡庸な夫に失望し、情事やぜいたくな浪費に耽った末、破滅に至るまでを写実的手法で描いたフランス文学の傑作『ボヴァリー夫人』。発行当時、風俗紊乱の罪に問われた原作者フローベールが、「ボヴァリー夫人は私だ」と語ったことはあまりにも有名であり、日本でも時代を超えて愛読されてきた。フローベール没後130周年にあたる2010年を迎え、鬼才ソクーロフが1989年の自作を再編集。リアリズムを貫きながらも独自の解釈で、不吉なエロティシズムをたたえた新たなエマ像を生み出した。また、監督への取材によるとエマの衣装はクリスチャン・ディオールである。エイジレスで斬新なセンスは、この作品のテーマが時代を超えて普遍性をもつことを表現するのに、一役買っている。 セシル・ゼルヴダキは、フローベールのエマのような容