筑波大附属小学校算数研究部・企画編集『かけ算を究める』 ●田中博史「かけ算の指導の系統について」27~28ページ 田中博史さんが,かけ算の式の順序について何と言うかは,この本で最も期待していたことだった。いつもの田中さんらしからぬ(と言えるほど,田中さんの文章を読んでいるかと言われると心もとないが)歯切れの悪さは,ネットの議論を意識し,それに反論できない知的誠実さの表れだろう。 「式の数値の順序性をどこまで問うかは,議論していかねばならない。」「指導の際にどのように区別していくかは今のところ確かに曖昧である。これでテストで×になったり○になったりでは子どもも可哀そうである。」 鉄面皮に,子どもにかけ算の順序を教えるのは当然である,と言って恬として反省しない「受け売りだけの方たち」とは,さすがに月とすっぽんである。 田中さんの苦渋は,この数年間のネットの議論の成果の一つの表れだろう。しかし,