10年以上前から性風俗の世界では、女性の供給が男性の需要をはるかに超え、異常なデフレ状態となっている。価格はバブル期と比較して、1人あたりの報酬は半減、月収は6~7割減。女性はカラダを売っても、苦しい生活から逃れられない現状にあるのだ。 ここでは、過酷な境遇にある女性たちの生き様を描いた、ノンフィクションライター・中村淳彦氏の著書『貧困女子の世界』(宝島社文庫)より一部を抜粋してお届けする。(全2回の1回目/2回目に続く) 写真はイメージです ©iStock.com 34時間、風俗店に待機 2020年4月24日17時30分、池袋。現役女子大生・仁藤美咲さん(仮名・20歳)と待ち合わせた。仁藤さんは医療福祉系大学に通いながら、池袋でデリヘル嬢をしている。17時に店が終わり、そのまま会うことになった。 やって来た仁藤さんは黒髪、理知的、清楚な女の子だった。誰も風俗嬢とは思わない見た目で、絵に描