『麦と兵隊』で知られる火野葦平を中心として、日本の小説家が軍部のプロパガンダ政策に乗せられていった過程を描く。 NHKスペシャル 芥川賞作家の石川達三による『生きている兵隊』が、日本軍の残虐行為を描いたために発禁となった直後、中国へ流出して国民党のプロパガンダ材料に活用されたこと。 それに対抗できる人材として、出征前に発表した作品で芥川賞を受けた火野葦平へ白羽の矢がたったこと。 そして従軍作家となった火野は『麦と兵隊』にはじまる「兵隊三部作」を発表してベストセラー作家となり、その流れに他の作家も追随していったこと。 中国と日本それぞれのプロパガンダについて、番組では政策の技術面や積極性だけが論じられる。従軍作家による文章の文学的評価や描写の事実性は、表層においては語られない。コメントをよせた中国側からすれば不満のある編集かもしれない。 しかし日中戦争でさまざまな残虐行為があったことを番組は