国税当局が国内外に多額の資産を持つ富裕層への監視を強めている。 富裕層の情報を収集するプロジェクトチーム(PT)を全国の国税局に拡大し、メンバーも増員した。背景には、税金対策に長(た)けた富裕層への課税を怠れば、国民の間に税に対する不公平感が広がりかねないという国税側の危機感がある。 「顧客や我々も把握していない海外口座まで税務調査で示された。国税の本気度を感じた」。富裕層の顧客を数多く抱える東京都内の大手税理士法人の税理士は驚きを隠さない。 昨年秋、港区に住むIT企業の男性社長に対する税務調査に立ち会った時のことだ。事前に社長から国内外の口座の残高や海外の出資企業からの利子・配当の受領額などを詳細に聞き取っており、準備は万全のはずだった。 しかし、東京国税局の調査官は、社長本人も忘れかけていた出資先や口座などを示してきた。結局、社長は数百万円の申告漏れを指摘され、修正申告に応じた。
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