◎平田オリザの孤独と冒険 水牛健太郎 映画「演劇1」「演劇2」のチラシ 「演劇1」が始まって間もなく、平田オリザがホワイトボードに「イメージの共有」という言葉を書く場面があるのだが、私の記憶が確かなら、「メ」の字を書くときに平田はいきなり短い棒から書いて、私を驚かせた。続いて「共」では、上の横棒を書いてから縦棒を二本書くのが正しい書き順だが、平田は縦二本を先に書いたのだったか、横二本を続けて書いたのだったか。「有」の字は一番上の横棒を最初に書いて、本来最初に書くはずのはらいを次に書いた。 私自身はほとんどの字で正しい書き順が身についているが(だから平田の書き順が間違っていることに気づいたが)、考えてみれば書き順というのは妙なもので、どうしてその通り書かなくてはいけないのか、理由が分からない。一般に「その通り書くと綺麗に書ける」とされているのだが、よく考えてみれば、それには何の根拠もないこと