電子工作という分野はそれ自体に興味もなければ、ましてや実際に手出しをすることもない、「自分とは関係のないもの」ズバリそれである。電子工作をする女子大生・ハルが主人公の『ハルロック』の中で展開される、ある装置をつくるために必要な電子工作の膨大な解説には、ぼくはまったく心を動かされない。 動かされないにもかかわらず、なぜぼくはこの作品をこよなく愛しているのか。 うん、そこはわかんないんだよ。作者がびっしりな文字で描きこんだそこはほとんど興味がわかない。 だけど、「ゴキブリを発見したらそれを通報してくれる」とか「ひとりぼっちであるとツイートするとその『ぼっち』さを地図上に可視化してくれる」とかいった、くだらないにも程がある……とは言い切れないニッチな切実さをまずつかみ出し、そしてそれらを実現する技術を、一つひとつ機械そのものとは別のロジックに替えて示してくれているのが、とてもいいのだ。 たとえば