韓国の大規模で過激な反政府デモが止まらない。デモが象徴する韓国社会の分裂は、内政の混乱にとどまらず外交的な迷走をも加速するだろう。ちょうど今、韓国を引力圏に引き込もうと中国が動き始めたところである。 「牛肉」の背景の「社会分裂」 米国産牛肉問題をきっかけに5月初旬に始まった韓国の反政府デモ。デモ隊が警備に当たる警察官に鉄パイプで暴行を働いたり、警察車両を転覆させるのが常態化した。ここ一か月ほどは新聞各社に暴徒が押しかけ、建物を外から封鎖するのが新たな「流行」だ。さらに最近は、暴徒はデモの通り道の商店も破壊し始めた。 6月28、29日両日のソウルの週末デモでは機動隊員を含む警察官112人が負傷した。米国人と見なされる白人を、いや、そうでなくても外国人を街で見かければ威嚇する韓国人が増えた。 国会は一か月も開けず、総辞職を表明した内閣の処遇もすでに二週間、宙に浮いたままだ。韓国は無法状