研究者は論文を公表したいとき、自分の研究結果を原稿にまとめ、ジャーナル(学術雑誌)に投稿します。ジャーナルの編集部はその原稿を、近い分野の専門家に送って、掲載する価値があるかどうか、「査読」を依頼します。査読を引き受けた専門家=査読者は、その原稿を読み、データの不足など問題点をチェックし、文書にまとめて編集部に送り返します。編集者はその文書を著者に送り、修正などを求めます(査読者は通常、匿名です)。その文書のことを「査読レポート」または「査読者レポート」といいます。著者は、査読レポートに書かれた査読者の指摘をクリアし、原稿をまとめ直すことができたら、その新しい原稿は論文としてそのジャーナルに掲載されることになります。 いま学術界では、論文を公表するときにその査読レポートも同時に公開する、という実験的な試みが始まっています。たとえば最近、ノッティンガム大学のケヴィン・シンクレアたちが、有名な