(C) 2010 オノ・ナツメ/小学館・さらい屋五葉製作委員会 お侍のチャンバラ、天下分け目の大合戦、お江戸のミステリー・捕物帖……。 いくつも「お定まり」のパターンをつくってきた「時代劇」。アニメでその「時代もの」というジャンルに風穴を開け、新しい風を送りこんだ作品がある。それが「さらい屋五葉」だ。 主人公は、どこにも行くあてのない浪人・政之助。人が行き交う江戸の町で職や居場所を求めてさまようその様子には、思わずハッとさせられるようなリアリティがある。現代的かつシャープな、一瞬の不安や戸惑いをあざやかにきりとった描写が「時代もの」の中で確かに息づいているのだ。 数百年もむかしのキャラクターに、どうして現代を生きるわたしたちの感情が重ねられるのか? そのリアリティの原点は一体どこにあるのか――監督・望月智充氏に聞いていく。前編では「不安」をキーワードに、話を伺っていきたい。 気弱ではずかし