森林の崩壊―国土をめぐる負の連鎖 (新潮新書) 読んだ 日本の林業の現状を上流(木材生産)と下流(住宅建築)の現場からリポートする。 日本の森林面積、木の蓄積量は過去最高であるが、その木を活かすこなく死蔵させている。 花粉症のせいで何かと肩身の狭い杉であるが、そもそもは、将来(つまり今)の需要に応えるために植林されたものである。問題は、植林した後の手入れや、生産された木材を活かすための、林業の産業化について効果のある施策が無かったことである。 著者の白井さんは、この本の最初で、一般にはほとんど知られることのない林業の衝撃的な事実を報告する。 現在の、林業従事者は、およそ5万人なのだが、年間の労働災害が2千数百件あり、約50人の人が死亡している。 1000人に1人なのだ! これは、中国の炭坑並であって、現代日本にあって、きわめて異常なことである。 1人の死亡の背景にはその数倍の怪我があること