「文藝春秋」4月号の特選記事を公開します。(初公開:2021年3月25日) 「新書大賞2021」第1位を受賞し、20万部を超える大ベストセラーとなっている斎藤幸平氏の『人新世の「資本論」』(集英社新書)。「マルクス」「資本論」といった“硬派すぎるテーマ”を扱いながら、これだけ今日の読者を惹きつけているのはなぜなのか? ジャーナリストの池上彰氏が著者・斎藤氏(大阪市立大学准教授)に迫った。 【写真】この記事の写真を見る(4枚) 池上 久々に知的興奮を味わいました。こんなに線を引き、付箋を貼りながら本を読んだのは、実にしばらくぶりのことでした。 斎藤 お忙しい池上さんに、そんなふうに読んでいただいて、本当に嬉しいです。 池上 400頁に迫るこんなに分厚い本が読まれていること自体が、おそらく、いまの世相や社会状況を映し出しているのでしょう。今回、編集部から出された対談のお題は「いまマルクスを考え