幻想的な作風で知られる作家、稲垣足穂(たるほ)(1900~77年)の代表作「一千一秒物語」の原型となる掌編小説集の原稿が東京・駒場の日本近代文学館で見つかった。 「日本のショート小説の元祖」と高く評価される同作の刊行2年前の1921年に書かれたとみられ、50編のうち22編は初版本に未収録の作品。未収録作は「月を取らうとした話」「香水瓶と猫」「火星が復讐した話」など芸術的感性の光る不思議な味の物語となっている。大正期に「中央公論」誌主幹を務めた滝田樗陰(ちょいん)の遺族から昨年、寄贈を受けた資料類に含まれていた。 原稿を収めたDVDは八木書店から刊行予定。10月1日~11月26日、同近代文学館で展示される。