ほんのちょっとずつの前進にも涙が出る。 それはスパルタなリハビリ病棟のおかげ ボクは6年前のある日突然「クモ膜下出血」という病気を発症した。「もう助からない」。そういわれて広島からも妹が駆けつけた。それが2回の手術の末、奇跡的に目を覚ますことになる。「一生、目を覚まさないかもしれない」から「目を覚ましても、いままでのご主人だと思わないでください。記憶は多分ないです。」へ。植物人間?寝たきり?記憶喪失?自分ではなにもできない。食事は二度と口からは食べられない。次から次へとその時の最悪な場合を告げられる。 頭のてっぺんからも鼻からもおなかからも腕からも足からも管がつながれていた。頭は水頭症の手術もして、いまでも額の皮膚の下に管がみえる。頭のてっぺんからの管は身体の中を通って胃に穴を開けて余分なミズを流し続けているらしい。フランケンシュタインだ。 病院で、生かしてもらっている時代が1年も続いた。