仙岩峠と言えば、秋田県民で知らないものはない、本邦最重要の峠の一つである。 それは、秋田県と岩手県を隔てる奥羽山脈にあって、秋田・岩手両県の県庁所在地を最短で結ぶ国道46号線の要衝である。 全長2544mの仙岩トンネルを含む8つのトンネルと20以上の橋で構成された、国道46号線仙岩道路は昭和51年の開通以来、峠を意識させないほどの快適な奥羽山脈越えを、提供し続けている。 一方で、一つのトンネルも介さずに、ガチンコで山脈を越えていた旧国道は、現道開通間もなくより秋田県側の大部分が通行止めとなったままで、田沢湖町道「仙岩峠線」と雫石町道「国見ヒヤ潟線」という名も与えられてはいるものの、実質的には廃道である。 峠の標高は、奥羽山脈を超える峠の中でも、旧一級国道としては最も高い890m。 藩政時代より重要な峠であったこの地に、初めての車路が開通したのが、昭和38年。 それが今日の旧国道であったが、
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