「長時間労働をやめよう」というスローガンは、日本の雇用社会を語る上であらゆる場面でずっと指摘されてきた、古くて新しい課題です。課題には一定の共通認識があるのにもかかわらず、なぜ現実は変わっていかないのでしょうか? その理由の一つに、長時間労働の「原因」の側にコンセンサスの欠如があります。具体的に長時間労働を是正しようとするとき、経営、管理職、現場と、それぞれの立場で意見がしばしば食い違います。「とにかく業務量が多すぎる」という従業員や管理職に対し、「現場はいつも忙しいと言う」とボヤく経営陣、といった対立はしばしば目にするところです。 いま必要なのは、職場で起こっている残業発生のメカニズムについてのエビデンスに基づいた冷静な分析です。パーソル総合研究所では2017年より、立教大学・中原淳氏とともに「職場においてなぜ残業が発生するのか」というメカニズムを探求し調査を重ねてきました。 調査データ