東日本大震災で崩れた家に、津波をかぶった1枚の写真があった。肩を寄せ合う笑顔の若いカップル。偶然見つけたボランティアの男性は、2人の無事を願い、写真を回収した。その翌年、写真の女性が目の前に現れた。 川谷清一さん(59)は、大阪府立長野北高校の事務長だった。震災から1カ月後、休暇を取って東北に向かい、宮城県南三陸町に着いた。カメラが趣味だった川谷さんは、写真などを拾い集めて洗浄するボランティアに登録した。 町内には、津波で流された家屋や車、船、無数のがれきが積み上がっていた。乗ってきた自家用車の中で寝泊まりをしながら、3日間にわたり、持ち主が特定できそうな写真や腕時計、表彰状などを集めた。 JR気仙沼線の清水(しず)浜(はま)駅の近くに来たときだった。線路は崩れ落ちていた。 倒壊した家のあたりで1枚の写真に目がとまった。ピースサインを重ね合わせ、ほほえむ若い2人。津波をかぶって表面が汚れ、
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