今回の助教の会は数理1研の本多が「polar符号および非対称通信路の符号化について」ということで情報理論の最近の結果に関する発表をしました.polar符号は2008年に提案された比較的新しい符号で,符号長に対して多項式時間で指数関数的に小さい復号誤り確率が達成できること示された初めての符号になります. 情報理論で扱う多くの符号が符号理論特有の手法により解析を行うのに対して,polar符号では分極現象という確率過程に関する基本的な結果から導かれる現象を用いた説明がなされ,情報理論にあまりなじみがない人にはおそらく最も分かりやすい符号になっています.もう少し具体的には,「確率変数のコピーを用意してそれらを可逆な演算により対称性を崩す」という操作を再帰的に繰り返すことにより,値が一意に定まる確率変数と完全にランダムな確率変数に分離することができることから,後者の確率変数のみにより元の確率変数全体