遅ればせながら、でもないが、ようやくポール・トーマス・アンダーソン(出来のいい方)の新作『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』を観てきた。 ストーリーに関してはあちこちで紹介されていると思うので手短に済ませるが、早い話が20世紀初頭のアメリカを舞台にした石油屋一代記。主人公のダニエル・プレインビュー(ダニエル・デイ・ルイス)は怪物じみたバイタリティで事業を拡大する一方、人間関係においてはどうしようもなく不器用で、周囲の人間を貶め傷つけてゆく。というか、プレインビューは「人をやり込めて、罵倒して、傷つける」以外のコミュニケーションの方法を知らないのである。ほかの語彙がないとも言う。だからプレインビューは常に孤独だ。が、「欲にまみれて金銭的に成功してはいるが、どうしようもない空しさを抱えている」などというのは見当違いで、なんでかというとプレインビューは常にそういう人生を送ってきたし、ほかの選択肢など
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